クエン酸と重曹を一緒に使っても掃除に効果がない。発泡しても汚れは浮くだけです。

掃除

キッチン、お風呂、洗面台、トイレなど、様々な場所で使用されるクエン酸と重曹。

これらは掃除や料理にも活躍する万能の粉として知られています。

しかし、これらを混ぜて使用する際には注意が必要です。

多くの場でクエン酸と重曹を混ぜることが推奨されていますが、実際には混ぜることによる効果は期待できません。

混ぜて水に溶かすと確かに発泡しますが、これは汚れを浮かすだけで、汚れを根本から落とすわけではありません。

特にSNSやテレビで「発泡させることで汚れが落ちる」と紹介されることもありますが、それによって実際に汚れが落ちているわけではないため、使用後に「同じようにやっても全然変わらなかった」という声も多く聞かれます。

もし汚れを落とすことが目的であれば、クエン酸と重曹は分けて使う方がずっと効果があります。混ぜて使うと両者の反応で中和され、結果として洗浄力は失われるためです。

本記事では、単に発泡させる効果だけでなく、実際に掃除に活用できる方法をお伝えします。

具体的な使用方法や効果的な活用法について、詳しく説明していきましょう。

クエン酸と重曹を混ぜても意味がない理由

重曹は別名炭酸水素ナトリウムと呼ばれ、名前の通り炭酸が含まれています。

クエン酸や酢などの酸性の液体を混ぜると、化学反応を起こして二酸化炭素が発生し、泡が生じます。

重曹は弱アルカリ性の性質を持ち、酸性のクエン酸と混ざると中和反応が起こります。

この中和によって、それぞれの物質の効果が打ち消し合うため、混ぜ合わせた場合に汚れを溶かす効果は期待できません。

さらに反応時には発熱しますが、水分の存在で温度がすぐに下がるため、汚れを落とすほどの効果はありません。

クエン酸と重曹を水で混ぜると、生成されるのはクエン酸ナトリウム・水・二酸化炭素です。

クエン酸ナトリウムはpH8.6程度の弱アルカリ性を示し、結果的に重曹水と同じ程度のpHになります。このため、クエン酸を加えた意味が失われます。

また、重曹を加熱するとpHが上昇しますが、クエン酸と混ぜると中性に近づき、その変化にも特に意味はありません。

結論として、クエン酸と重曹を混ぜても、洗浄効果としては汚れを浮かす力しか期待できず、ほとんど中性に近い液体を用いた泡だけの作用では、汚れが取れないのは自然な結果です。

クエン酸と重曹を発泡させる4通りの方法

クエン酸と重曹は、どちらを先に入れても発泡する性質があります。

発泡させる方法には、次の2つのアプローチが存在します。

  • 粉を撒いて、水に溶かした液体を注ぐ
  • 水に溶かした後、粉を撒く

この2つの方法を使った発泡のバリエーションは以下の4通りです。

方法 クエン酸 重曹 効果
粉を撒いて水に溶かした液体を注ぐ 粉状クエン酸 重曹水 効果なし
粉を撒いて水に溶かした液体を注ぐ 粉状重曹 クエン酸水 効果なし
水に溶かし粉を撒く(つけ置き) クエン酸水につけ置き 粉状重曹 やや効果あり
水に溶かし粉を撒く(つけ置き) 重曹水につけ置き 粉状クエン酸 効果なし

上記の表からも見て取れるように、発泡による掃除効果はほとんど期待できません。

発泡することによって、見た目上は汚れが落ちたように感じられるかもしれませんが、実際にはそれによる効果は限定的です。

粉を撒いて、水に溶かした液体を注ぐ場合

おすすめの掃除方法で紹介されている例では、排水口に重曹を撒いて数分放置し、その後にクエン酸を混ぜる方法があります。

生ごみの消臭効果は得られますがヌメリ取りなどの掃除には効果が見られません。

撒いた重曹の上にクエン酸水をかけると、確かに発泡はしますが、この反応で汚れを溶かす事はありません。

次に、クエン酸を粉で撒き、その上から重曹水をかける場合、クエン酸が「水に溶けているかどうか」という点において、効果が分かれます。

クエン酸は元々、水垢や尿石を溶解する作用がありますが、クエン酸が水に溶けず粉のままの状態で重曹を加えると、ただ単に化学反応で中和されるため、掃除効果は期待できません。

では、クエン酸が多少水に溶けた状態だった場合はどうでしょうか?

クエン酸が溶けている場合、ある程度は汚れを溶かす効果があります。

しかし、ここに重曹水を加えると、再び発泡し、中和されてしまうため、洗浄力は弱まり、結局は発泡力を利用する程度の効果となります。

このため、クエン酸を単体で使用する方が良いでしょう。

水に溶かし、粉を撒く

重曹水とクエン酸水は、それぞれつけ置き掃除において紹介されますが、重曹水を用いたつけ置きはほぼ効果が認められません。

その弱アルカリ性では、丸一日つけ置いても軽度の汚れしか取り除けないことが多く、スポンジを使ってこする方がはるかに効果的です。

一方、クエン酸水は洗浄効果が高いとされ、特にキッチンの蛇口などに対する使用が推奨されています。

重曹の使用目的は、つけ置きにより浮かんだ汚れが細かい隙間や内部にあって直接触れにくい場合に有効で、発泡作用を利用して汚れをかき出します。

インスタグラムで見かける方法、「クエン酸でつけ置き後、重曹を加えて発泡させ、ブラシでこすると汚れが取れる」というのは誤りです。

正しい手順は、クエン酸でつけ置きし、ブラシで物理的に汚れを浮かび上がらせた後に重曹を加えて発泡させることです。

この手順により、汚れを発泡の力でさらに浮かしやすくするため、まずブラシでこすったほうが効果的です。

キッチンの蛇口をクエン酸と重曹で磨く方法

キッチンの蛇口についた水垢を落とすために、クエン酸を使った方法を試しました。

まず、約40℃のお湯をボウルに用意し、大さじ1杯のクエン酸を溶かしました。その中に蛇口のパーツを浸けて効果を見ました。

時間が経過すると、特に蛇口の裏側の汚れが目立ち始めました。グレー色の蛇口だったため、汚れがより際立っていることがわかりました。

蛇口は1時間ほどクエン酸水に浸けた後、ゴム手袋をして安全に作業を行いながら、ブラシで擦りました。

これで汚れをさらに浮かせることができました。その後、大さじ1杯の重曹を加えて混ぜることで、強い泡立ちを見せ、汚れを効果的に浮き上がらせることができました。

更に泡立ちを強くするためには、食器用洗剤を同じ量加えると良いでしょう。

ただ、しっかり水で洗い流すだけでも問題ありませんが、今回は重曹での化学反応も試してみました。

処理後のボウルを見ると、細かな汚れが浮かび上がっていました。

特に蛇口の裏側はクエン酸の反応で白く変色し、悪化してしまったように見えましたが、その他の部分はきれいになりました。

クエン酸と重曹の組み合わせ、バスボム作りにも活用可能

市販されているバスボールは一つ500円程度することが多いのですが、自宅で簡単に作れる方法があります。

それは、クエン酸と重曹を利用したバスボム作りです。

これらの成分は中和反応を起こして発泡し、その作用を利用しています。

製作にはアロマオイルを数滴混ぜることで、お好みの香りをプラスできます。

形はお菓子作りの型を使って、自分だけのオリジナルの形に仕上げることができます。

材料費も抑えられ、作る過程も楽しめるため、特に子どもがいる家庭におすすめのアクティビティです。

ただし、使用するクエン酸や重曹は掃除用ではなく、食用グレードのものを選ぶようにしてください。

まとめ:クエン酸・重曹は別々で使った方がいい

クエン酸と重曹を混ぜて使用することは基本的に無効であるということについて説明しました。

反応により発泡しますが、実際には物理的な清掃方法、例えばスポンジを使う方が効果的な場合が多いです。

発泡の主な目的は、手が届かない細かい隙間や内部の汚れを表面に浮き上がらせて取り除くことです。

そのため、汚れが溶けていない状態で発泡するだけでは、クエン酸と重曹の使用が無駄になってしまう可能性があることに注意が必要です。

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